避難先でつないだ伝統をどうするか、故郷と向き合う福島の大堀相馬焼 松永武士

Matsunaga Kiln in Fukushima

Takeshi Matsunaga (left) and the staff of Matsunaga Kiln at their new shop and workshop in Fukushima, Japan. They make Fukushima's traditional pottery called Obori-soma ware. Credit: The Matsunaga Kiln

東日本大震災から12年。福島県の指定伝統工芸品「大堀相馬焼」の窯元の一つ、松永窯の4代目として生まれた松永武士(たけし)さんは今また、再建が見えてきた故郷にどう向き合っていくかの岐路に立っています。


Takeshi Matsunaga
Takeshi Matsunaga, Gatch inc. CEO / Matsunaga-klin 4th generation Credit: Gatch inc.
大堀相馬焼は、福島県相馬地方にある浪江町(なみえまち)大堀地区で作られる福島県を代表する陶器の一つです。浪江町は、2011年に東日本大震災で起きた原発事故により帰還困難区域に指定され、大堀相馬焼の窯元はすべて、避難を余儀なくされました。

震災発生当時、松永武士さんは20代前半。大学在学中に会社を興し、家業を継ぐつもりはありませんでしたが、震災で状況が一変。故郷のつながりを失ってしまうことは避けたいと、大堀相馬焼の再建に取り組むことになりました。

それでも工房のある浪江町に帰ることはできません。

2014年頃、浪江町大堀地区で作られていなくても、福島県内で制作されたものであれば大堀相馬焼を続けていくことができるようになり、避難先から車で20分ほどの場所に仮設の工房を作りました。

新しい場所でものづくりを再開したこと、新しく県外の若者の受け入れを始めたことが、震災からの12年間を振り返って最初の節目だったと、松永さんは振り返ります。
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The interior of the newly renovated Matsunaga family's Obori-Soma ware craft centre in Fukushima. Credit: Takeshi Matsunaga
そして2つ目の節目は仮設工房のリニューアル、そしてやっと見え始めてきた大堀地区の再建です。避難先でものづくりのサイクルを見届けながら、もともとの制作拠点である浪江町大堀地区での活動を今後どう再開していくのか、松永さんは未来への伝統のつなぎ方を模索しています。

インタビューでは、震災後の12年間を振り返ったお話を聞きました。

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