SBS Examines: オーストラリアでの「宙ぶらりん」な生活

portrait of a woman in a blue jacket standing outside of the Department of Home Affairs protesting the fast track policy

Rathy Barthlote has been waiting 13 years for a permanent visa. Source: SBS / Olivia Di Iorio

政府が今年廃止したビザ審査のファストトラック制度。この制度の「被害者」とされる数千人の亡命希望者は今も、永住ビザの発給を待ち続けています。そしてその多くは10年以上にわたり不安定な状況に置かれています。


ラシー・バートハラット(Rathy Barthlote)さんは28歳のとき、祖国を離れることを余儀なくされました。

バートハラットさんは2013年、タミル人に対する大量虐殺行為から逃れるため、夫と2歳の娘とともにボートに乗ってオーストラリアに来ました。

それから10年以上が過ぎた今、永住権を取得するという確実で安全な生活を待ち続けています。
何もできない、宙ぶらりんの状況です
バートハラットさんは、2015年に当時の保守連合政権が導入したファストトラック・プロセッシングと呼ばれる政策を通じてビザを申請しました。

この制度は今年7月に廃止されましたが、制度を利用した数千人の在留資格が確定されておらず、申請者は身動きが取れない状況になっています。
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SBS Examines: オーストラリアでの「宙ぶらりん」な生活

SBS Japanese

09/10/202406:50
バートハラットさんは、数千オーストラリアドルをかけて、自分のケースを法廷に持ち込みました。しかし最後に進捗状況について連絡があったのは3年近く前です。

「とてもつらいです」とバートハラットさんは語ります。

「今の状況がいつまで続くか分かりません。適切なビザが下りれば、幸せに生活ができます」

バートハラットさんのように、自分はファストトラック・プロセッシングというシステムの「被害者」だと考える人は多くいます。

メルボルンのバークストリート沿いにある内務省の建物の外では、永住権を求めて多くの人が抗議活動を行いました。
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Founder of the Tamil Refugee Council Aran Mylvaganam says "people feel hopeless." Source: SBS / Olivia Di Iorio
タミル人難民の擁護団体 Tamil Refugee Council の創設者、アラン・ メルヴァガナム(Aran Mylvaganam)さんは、この抗議の場所にとどまり続けています。

「私たちは基本的に、何もできない状況に置かれています。私たちが声を上げ行動を起こしても、誰の耳にも届きません」とメルヴァガナムさんは語ります。

人権団体 Human Rights Law Center でリーガル部門を統括するサンマティ・ヴァーマ氏によると、ファストトラック・プロセッシング政策で影響を受けたビザ申請者の大半は、スリランカやイランから来た難民です。

ヴァーマ氏は、ファストトラック・プロセスは、ビザの取得がうまくいかないように設計されたものだと語ります。
ファストトラックと呼ばれているのは皮肉です。ファストなものは何もありません
「彼らに対する心理的なプレッシャー、家族や子どもたちが受けるプレッシャーはまさに非人道的であり、言葉では言い表せないものです」(ヴァーマ氏)

連邦内務省の報道官はSBSエグザミンズに対し、オーストラリアに長く滞在している人に対して政府は、確実性と安心を持って生活ができるよう、その機会を与えることに力を注いでいるとし、永住権の取得に向けた選択肢も提供している、と述べています。
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