Key Points
- オーストラリアでは18歳以下の電子タバコの流行があることが明白となっている
- もし、ブラックマーケットが継続するならば、電子タバコの販売規制の効果はないとみられる
- 気づかないうちにニコチン中毒になっていることが、10代の若者が電子タバコをやめるのを難しくしている原因となっている可能性がある
ベイプと呼ばれている電子タバコ製品の規制が、オーストラリアで厳しくなってきています。
シドニー大学、公衆衛生学科のベッキー・フリーマン准教授は、Generation Vape Projectを率いています。これは、電子タバコに関する、若者の考え方や行動を研究するもので、10代の間で電子タバコが広く使用されていることがよくわかっているとしています。
「ここ数年でその数は急速に増えていることがわかっています。特に、COVID-19パンデミックの前後で、学校が閉鎖され、すべての公衆衛生の注目がCOVID-19にあった時です。」
Experts say that the vaping industry has been targeting young people with disposable vaping products which are often flavoured and coloured. Credit: Peter Dazeley/Getty Images
「平均14歳の子供が、あまりにも簡単に電子タバコを手に入れることを考えると、ブラックマーケットではありません。実際はオープンマーケットです。ですから、私たちはこの流通網に注目しなければいけないのです。」
電子タバコが流通してから、数年になります。
フリーマン教授は、電子タバコが若者の間で、人気が出てきた理由の一つは、電子タバコが通常のタバコとは異なるものとして売られていることにあると考えています。
「若者の間では、喫煙に対し反対しています。彼らは、わかっているんです。タバコはとても値段が高く、健康被害の写真がついていて、どこでもタバコを吸えるわけではありません。」
「電子タバコを、そのようには見ていないのです。かれらは、安全で、社会的に受け入れられており、楽しく感じています。電子タバコ産業は、どれだけ害があって、中毒性が高いかを隠し、誤解させるようなキャンペーンをとり、それに大成功しているのです。」
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電子タバコの健康へのリスク
ニック・ズァー教授は、ロイヤル・オーストラリア・カレッジの、GP専門家諮問グループの責任者で、禁煙を希望する人々を支援する医療従事者向けのガイドラインを作成を行っています。
ズァー教授は、ラベル表記がなかったとしても、ほとんどの電子タバコにニコチンが含まれていると話します。
「薬品・医薬品行政局やその他の団体が、ニコチンを含まないと表示された電子タバコを検査したところ、80~90%にニコチンが含まれていました。」
ズァー教授は、ニコチンを含まない電子タバコであっても、健康リスクは依然として存在すると説明しています。
It is estimated that about 1/3 of teenagers across Australia have at least tried vaping. Source: Moment RF / Daniel Lozano Gonzalez/Getty Images
「その害の程度はまだ明らかではありません。」
ニコチンが含まれる製品の場合、特に若者にとっては、ニコチンが最大の健康リスク元となると、ズァー教授は話します。
「ニコチンの最大の懸念は、特に若者にとっては神経システム、特に脳の発達の遅れに影響があります。」
Parents and teachers should ensure young people realise that nicotine is highly addictive Credit: fotostorm/Getty Images
可能なサポート
喫煙や電子タバコをやめるための支援として、オーストラリアでは、Quitlineが全国的に電話や、オンラインでカウンセリングサービスを行っています。各州で、支所があるのに加え、共通のホットライン、13 QUIT (13 7848) があります。
電子タバコをやめることに、「唯一の答え」はありません。Quit Victoriaのレイチェル・アンダーセン代表は説明しています。
「簡単に言うと、全員の過程はユニークです。しかし彼らが実際にやめるときには、似たような症状を経験しています。ニコチン禁断症状は、電子タバコと喫煙の両方で非常に似ています。」
ズァー教授は、若者の中には、家族や仲間のサポートだけで十分な人もいれば、ニコチン中毒を克服するために、医療専門家の助けが必要な人もいるとしています。
「ある若者は、単に友達や家族のサポートでやめることができるでしょう。または、電子タバコを吸う時間を遅らせたり、気を紛らわせたり、水を飲んだり、そんなやり方や、Quiteline に連絡をしたりすることでやめることもできるでしょう。」
Health experts say non-nicotine vapes also impact our health, due to the aerosols produced when vaporising the e-cigarette liquid, consisting primarily of glycerine and propylene glycol. Source: Moment RF / Martina Paraninfi/Getty Images
「特に若い人たちは、電子タバコを始めたときには、おそらく高い中毒性があるものに触れたことがなく、どんな健康被害があるのかを知らなかったと思うのです。」
それでは、どのように10代の電子タバコをやめるよう手助けできるでしょうか?
シドニー大学のフリーマン教授は、12歳の子供の母親です。
彼女は、親たちに子供が電子タバコをやめることを支援する、二つの鍵が必須だと話します。ひとつは、ポジティブな会話を続けること。そしてもう一つは、専門家の支援を受けることです。
「悪い子だとか反抗的な十代というより、電子タバコ業界の被害者として彼らを見ることです。」
「学校の看護師などがいれば、サポートをもとめましょう。また、サポートができるGPに行くこともお勧めします。またQuiteline や のウェブサイトで役に立つ情報を得ることができます。」
親は、医療専門家やサービスから、10代の若者の禁煙を、最もうまくサポートする方法についてアドバイスを受けることもできます。
Quitline のアンダーセン氏は、Quitline への電話はすべて秘密厳守で、偏見のないものなので、安心して利用できると話します。
「かれらは、本当に助けになります。彼らは、やめるための計画を作る助けをしてくれます。全体的な情報や、受けることができる支援を提供してくれます。また、どのように会話を始めたらよいか、子供たちを必要なサポートにどのように導くかをアドバイスすることができます。」
Ms Andersen advises framing a conversation with your child about vaping in a way that allows them to safely share their experience and not feel judged. Credit: Plan Shooting 2 / Imazins/Getty Images/ImaZinS RF
電子タバコをやめるためのサポートをここで受けられます
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