ハイライト
- 「ウィッシュサイクリング」は汚染の主な原因のひとつ
- リサイクルは「資源」と考える
- より良い未来のために、再利用・再目的化する
オーストラリアでは毎年7,400万トンの廃棄物が排出されていますが、そのうち実際リサイクルされるのはわずか60%。残りは埋立地へと送られています。
オーストラリア人の大半はリサイクルの重要性を認識している一方で、何がリサイクルできて何ができないのか、「混乱している」人が多いと、クリーン・アップ・オーストラリアの会長、ピップ・キアナンさんは言います。
89%の人がリサイクルは重要だと考えていますが、リサイクルに出すものを正しく理解しているのは3人に1人にとどまっていることがわかりました
間違ったものをリサイクルビンに入れたり、ビニール袋に入れてリサイクルビンに入れてしまうと、それらは「汚染物」となり、そのリサイクルビンに入っていたすべてのものが埋立地へと送られてしまいます。また「これもリサイクルできたらいいな、入れてみようかな」と、確認もせずにリサイクルビンに入れてしまう「ウィッシュサイクリング」こそが、汚染の主な原因のひとつになっていると言います。
Your recyclables should not be bagged when placing them into the kerbside recycling bin. Source: Getty Images/RUBEN BONILLA GONZALO
このように誤って入れられるものにはティッシュやキッチンタオル、繊維製品、紙おむつなどがあるとキアナンさんは言います。
リサイクルに関する規則は、州やテリトリーだけでなく、各カウンシルによっても異なるため、全国に一環したメッセージを送るのは困難なことです。
そのためお住まいの地域で何がリサイクルできるのか、ローカルカウンシルに確認することが重要です。 またのような無料オンラインツールを使えば、お住まいの地域のゴミやリサイクルの事情を知ることもできます。
しかし、私たち全員が守るべき共通のルールは、リサイクルに入れるものは「バラで、きれいで、乾いたものであることです」。我々が毎週出すリサイクルは、「資源物と考え、新たな命が吹き込まれることを念頭に置いておいてください」とキアナンさんは語ります。では、オーストラリアでは何がリサイクル可能で、何がそうでないか、どう判断できるのでしょうか?
Put loose, clean and dry recyclables into the kerbside recycling bin Source: Getty Images/Elva Etienne
2018年に導入されたオーストラレーシア・リサイクリング・ラベル(ARL)は、パッケージのどの部品がリサイクルできるかを明確に表示するものです。多くの場合、蓋やプラスチックカバーなど、それぞれのパーツを取外す必要があるとキアナンさんは説明します。万が一商品にARLがなく、リサイクルが可能かどうかわからないものは、汚染を防ぐため、リサイクルビンに入れないことが重要です。
Australian Recycling Label (ARL) Source: Clean Up Australia
主要なスーパーマーケットをはじめ、全国に1,900カ所以上のビンを設置しているREDcycleは、10年以上にわたってソフトプラを回収し、再利用する方法を提供してきました。
RED Groupのマーケティング・コミュニケーション・マネージャー、レベッカ・グレッグホーンさんによると、REDcycleのビンは、毎日400万個のソフトプラスチックを回収しています。
平均4グラムと計算すると、全国で毎日1万6,000キロ分のソフトプラが埋立地へ行くことを防いでいるのです
回収されるソフトプラは増加の一途をたどっており、2020年から2021年の会計年度内には回収されたソフトプラが200%以上も増加しました。
フリーザーバッグやパンの袋、ジップロックバッグ、そしてプチプチまで、REDCycleに入れることができるソフトプラは、実は身の回りにたくさんあります。 ただし、例外もあります。そのため、他のリサイクル同様、必ずリサイクルラベル、ARLを確認する必要があります。
「我々が回収できないのは、例えばアルミニウムの含有量が多い全体が銀色のパッケージです。また、堆肥化可能なプラスチックや生分解性のソフトプラスチックも回収できません。なぜなら、これらのプラスチックには、パッケージを分解するために添加剤が含まれていることから、これらを再利用して作られたベンチやボラードなどの製品も生分解されてしまうのです」
回収されたソフトプラは、加工されて製造業者に送られ、フェンスや家具、道路のインフラなどに生まれ変わります。
また、カウンシルによっては、電子機器、白物家電、レントゲンなど、ご自宅のリサイクルビンを通じてはリサイクルできないものを、回収する日を設けている場合もあります。危険な化学物質やバッテリーなども回収し、安全に処分するサービスを提供している場合もあります。
廃棄物を新しいものに変えることは環境に良い影響を与えます。しかし私たちが膨大な数の製品を生産し、消費している事実は変わりません。
2013年にアメリカで始まったは、不要になったものを無料で提供し、それらを再利用するムーブメントで、オーストラリアををはじめ、世界中で爆発的な広がりを見せています。シドニーのヒルズ地区で大規模なBuy Nothing Projectグループを運営するリブ・マクギネスさんは、人々は自分たちの資源がどこから来て、どこへ行くのか、疑問を持ち始めていると語ります。
Reusing and repurposing, the way of the future Source: Getty Images/Su Arslanoglu
赤いゴミ箱に入れれば、魔法のように消え、何の罪悪感もないというのはもう過去の話です。私たちは、過去数十年間に赤いゴミ箱に入れられたものが、今もどこかでゆっくりと分解されていることに疑問を感じ始めています
Buy Nothing グループでは、子供が使わなくなったおもちゃから、タンスに眠っていたものまで、毎日様々なものが共有され、再利用されています。
「食品から家具、箱、中古の電化製品まで、実に様々なものがシェアされています。特に人気があるのは、引っ越し用の箱や挿し木など、経済的にあまり価値のないものです。しかしそれらを受け取る人たちは、とても喜ばれます」と マクギネスさんは説明します。
このように再利用は、環境に対して長期的により良い影響を与えるたけでなく、コミュニティーの繋がりも強化します。また、そのコミュニティーに引っ越してきたばかりの人にとっては、新たな出会いやネットワークを形成する素晴らしい方法でもあります。
私たち一人ひとりがどのようにゴミを廃棄したり、リサイクルしているかを観察することで、地球のためにできること、やるべきことがたくさん見えてくるはずです。そして、それは今日から始められる実に簡単なことです。
火木土の夜10時はおやすみ前にSBSの日本語ラジオ!