南オーストラリア州では今年3月から使い捨てプラスチックの販売や使用が禁じられ、9月からはクイーンズランド州でも同じく、シングル・ユース・プラスチックが廃止されます。この使い捨てプラスチックには、私たちが普段から何気なく使用してきたプラスチック・ストローも含まれます。
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南オーストラリアで使い捨てプラスティック禁止に
オーストラリアでも、大手飲食店などが、プラスチックストローを廃止し、紙ストローを導入するなど、脱プラスチックへ向けて少しずつ前進しているものの、『クリーン・アップ・オーストラリア』によると、オーストラリアでは1日に約1,000万本、1年で35億本のストローが使用されており、その多くは15分~30分使用されたのち、捨てられていると言います。
鼻にストローが刺さったウミガメの動画や、ゴミ処理場のシステムをすり抜けていずれは海を汚染してしまうプラスチックストローは、いつしか「悪者扱い」されてきました。
しかし「悪いのは、ストローでない、悪いのはそれを消費する私たち人間である」と、ひとりの女性が、ストローの魅力や可能性を発信しつつ、日常のありふれた消費行動を見直す活動をはじめました。
自称「ストローマエストロ」の野村優妃さんは、フィリピンに滞在中、カフェで提供された竹ストローをきっかけに、それまでまったく意識することのなかったストローに注目するようになったと言います。
「ストローって口に触れるものなんだ」「口当たりが変わるだけでこんなに違うんだ」と、ストローの世界に惹かれ、これまで、20ヵ国から異なる素材のストロー1000本を集め、研究。また自ら野菜をくり抜いてストローを作成するなど、好奇心旺盛にストローの世界を追求してきました。現在は日本を拠点に活動する野村さんは、一般的なプラスチックや紙のストローではなく、麦わらや竹、サトウキビなど、20種類を超える素材のストローを選択枠として発信。またクラウドファンディングを通じて、オリジナルストローも開発するなど、ストローの新たな側面や魅力を発信しつつ、ストローそのものの価値や可能性、その消費について考えるきっかけを提供しています。
Yuhi has not only collected various types of straws from around the world, she has also tried various vegetables as an alternative to plastic straws Source: Yuhi Nomura
オリジナルストロー第1弾として開発した、キャンデイストローは、パラチニットという砂糖を使用。体内にゆっくりと吸収される砂糖のため、血糖値を抑えられるほか、虫歯にもなりにくいと言います。本来コーヒーやストレートティーに加える砂糖の代わりに、キャンデイストローを使えば、吸うことで味の変化が楽しめたり、ストローそのものを溶かしてみたりと、ストローの概念を覆す発想で、近い将来、ドリンクによってストローを選ぶ時代が来るかもしれないと語ります。「ストローの楽しさを入り口に」、普段私たちが何気なく使っているストローを「改めて消費という点から見直してほしい」と話す野村さん。ストローのネガティブなイメージを「ワクワク」に変えることで、その消費価値も大きく変化していくのではないでしょうか。
Edible candy straw Source: Yuhi Nomura
あなたもプラスチックストローを手に取る前に、他の選択肢をトライしてみませんか?
Yuhi's straw kit that she carries around everywhere Source: Yuhi Nomura
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リサイクルより大切なことを「ちょいむず」で 楳村郁子
インタビューではストローマエストロのお勧めストローや、障がい者などの日常生活にお勧めのストローなどもお話しいただきました。下記からどうぞ。
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ストローの魅力を発信する「ストロマエストロ」、野村優妃さん
SBS Japanese
20/04/202114:03
火木土の夜10時はおやすみ前にSBSの日本語ラジオ!