アカデミー賞の前哨戦といわれる今年のゴールデングローブ賞で、旧外国映画賞に当たる、「非英語映画賞」を受賞した『ドライブ・マイ・カー』。
日本映画としてゴールデングローブを受賞するのは、1960年に受賞した市川崑監督の映画『鍵』以来、62年ぶりの快挙です。
2月10日からのオーストラリア上映開始を前に、映画で脚本・監督を務めた濱口竜介さんが、SBS日本語放送のインタビューに応じてくれました。村上春樹さんによる同名の短編小説を映画化した『ドライブ・マイ・カー』は、愛する妻を突然失った西川秀樹さん演じる主人公の家福が、ドライバーのみさき(三浦透子さん)と会話をする中で、妻の秘密をたどっていく物語。
Drive my car, scripted and directed my Ryusuke Hamaguchi Source: © 2021 Culture Entertainment, Bitters End, Nekojarashi, Quaras, NIPPON SHUPPAN HANBAI, Bungeishunju, L’ESPACE VISION, C&I, The Asahi Shimbun Company
ゴールデグローブ受賞について監督は「非常に驚いており、うれしく思う」と述べ、また賞の歴史の中に名前が加わったことについて「ありがたいことである」と心境を語りました。
『ドライブ・マイ・カー』は、ゴールデングローブの他にも、世界各国のあらゆる賞を受賞しており、カンヌ国際映画祭では、日本映画としては初となる脚本賞を含む4冠を達成。また、ニューヨークやボストン、ロサンゼルス映画批評家協会賞など、アメリカの映画賞を総なめしているほか、ここオーストラリアで開催されたアジアパシフィック・スクリーニング・アワードでも作品賞を受賞。3月に授賞式を控えた米アカデミー賞にも期待が寄せられます。
海外での反響については、映画のテーマである「普遍性」がとても大きいのではと語る濱口監督。
「なにか大切さなものを失っても、それでも生きていかないといけない」。
「これまで何度も繰り返されたきた話ですが」、それをアジア各国のキャストと「真正面から取り扱い」、「スタッフ一同がその素晴らしい演技を捉えるよう頑張った結果」と説明します。数ある村上春樹さんの作品の中から「ドライブ・マイ・カー」を選んだ理由については、「家福とみさきのキャラクターと関係性」であると話す監督。
Yusuke Kafuku (left) played by Hidetoshi Nishijima and Misaki Watari(right) played by Toko Miura Source: © 2021 Culture Entertainment, Bitters End, Nekojarashi, Quaras, NIPPON SHUPPAN HANBAI, Bungeishunju, L’ESPACE VISION, C&I, The Asahi Shimbun Company
寡黙な2人が車という閉鎖空間で徐々にお互いのことを話すようになり、率直で嘘のない会話を通じて、関係が進展していく。
「それが原作のおもしろいところ」であり、「壊さないよう映画化した」と話します。
多くのシーンに登場する家福の赤い愛車は、原作では黄色。緑が多い風景の中を走る上で、車の存在が際立つよう、映像にする上では赤にすることが必要であったと話します。
またみさき役を演じた三浦透子さん、実は役が決まってから、急遽運転免許を取得したと言います。
濱口監督は、役者さんの「キャラクターを演じる」という計り知れない不安感を和らげるような、演技に集中できるような環境を作ることが自身の役目であると話します。
インタビューではこの他にも師匠でもある、映画監督・黒沢清さんからの感想や、師匠から教わったことで、今でも大切にしていることなどについても聞きました。
音声インタビューは下記からどうぞ
LISTEN TO
ゴールデングローブ受賞『ドライブ・マイ・カー』 濱口竜介監督
SBS Japanese
25/01/202209:51
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