2021年7月1日からのビザに関する8つの重要な変更点

パートナービザへのパスウェイの変更から、新しい農業ビザの発表まで、新会計年度にオーストラリアで行われるビザおよび移民関連の変更について、知っておくべきことをまとめました。

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Australia Source: Getty Images/Tobias Titz

観光業や農業分野で働くテンポラリービザ保持者は、オーストラリアでの滞在を延長することが可能となります。また、障害者、高齢者介護、医療、農業、観光、ホスピタリティの各分野で働くオンショアの留学生は、2週間に40時間以上働けるようになります。

これらの変更はCOVID-19パンデミックで閉鎖されたオーストラリアの国境により、高まっている重要な分野における労働者の需要に応えるため、実施されます。


キーポイント:

  • 優先移民技能職種リストが拡大され、新たに22の職種が追加されました
  • ASEAN 10 ヵ国を対象とした、独立した新たな農業ビザの導入
  • オーストラリア市民権の申請費用は上がり、新規移住者は福祉を受けるまでの期間が長くなります

移民の数

2021-22年の移民数の計画は現行維持の16万人を予定しており、7万9,600人のスキルストリームを含む、2020-21年の構成をそのまま引き継ぐことになります。

内務省の広報担当者はSBSラジオに対し、「スキルストリームは、オーストラリアの経済がCOVID-19から立ち直るのに役立つビザカテゴリーに引き続き焦点を当て、経済成長、雇用創出、オーストラリアへの投資を促進するビザグループを優先します」と述べました。
「ビジネス・イノベーション」、「インベストメント」、「グローバル・タレント」、「雇用主スポンサービザ」のプログラムは優先されます
2020-21年には、「ビジネス・インベストメント(投資)・イノベーションプログラム」の募集枠は約2倍の1万3,500人、独立した「グローバル人・タレント・プログラム」の募集枠は約3倍の1万5,000人となりました。
しかし、これらのカテゴリーに割り当てられる定員数は、2021年から22年にかけて変更される可能性があります。

「COVID-19による不確実な健康、国境、経済状況に対応するために、スキルストリームは継続的に柔軟性を確保します」とスポークスパーソンは述べています。

「ワーク・ビザ・ロイヤーズ」の創設者で、移民弁護士であるクリス・ジョンストン氏は、政府が発表している移民数の計画は目標ではなく、上限であると指摘しています。

「ビザ189に関して言えば、計画では6,500人でしたが、2021年4月21日までに招待されたのは1,690人だけです。つまり、まだ多くのビザが利用可能であり、残された時間はあまりないということです」
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Temporary concession allows offshore Family Visa applicants to apply while staying onshore. Source: Getty Images/Oliver Rossi

ファミリー・ビザ

クリス・ジョンストン氏によると、ファミリーストリームの定員は7万7,300人で変更はありません。

また、COVID-19による渡航制限のため、海外からの申請者が国内に留まりながら申請できるという一時的な譲歩を政府が認めたことで、既存のパートナービザ申請の処理時間が短縮される可能性があると、ジョンストン氏は付け足しています。

パートナービザの2段階申請

しかし、移民エージェント、「マイグレーション・ダウンアンダー」のオーナーであるジュリー・ウィリアムズ氏は、パートナービザのパスウェイの変更により、処理時間が長くなるのではないかと懸念しています。

この変更により、新しいプロセスは2つの段階に分かれ、パートナーがビザを申請する前に、オーストラリアのスポンサーが申請し、スポンサーとして承認されることが必要になります。

「スポンサーの申請を承認するための処理時間がどのくらいになるかは、まだわかりません」

もう1つの重要な変更点は、2段階目となるパートナービザ(サブクラス801/100)を申請する移民とそのスポンサーが、英語のテストに合格する必要があることです。

これらの変更は、2020-21年度の連邦予算で導入され、今年から施行されています。
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The tourism and hospitality have been added to the pandemic critical sector list, Source: Getty Images/Attila Csaszar

ビジネス・ビザ

2021年7月1日より、「ビジネス・イノベーション」と「インベストメント(投資)」プログラムのストリームとサブクラスの数が9つから4つに減らされます。「ビジネス・イノベーション」と「インベストメント」プログラムに大きな変更が加えられるのは、2012年にこのビザが導入されて以来初めてです。

ビジネス・イノベーション・ストリームには、より高い資産とビジネス・ターンオーバーの審査があり、インベスメント・ストリームのビザ保有者は、150万ドルから250万ドルの投資を行うことが求められます。

また、起業家の場合、20万ドルの資金が必要とされていましたが、これが廃止され、永住権取得への道がより容易になりました。

新たな農業ビザ

連邦政府は、ASEAN10ヵ国を対象にした新たな農業ビザを発表しました。

この発表は、オーストラリア政府がイギリスとの自由貿易協定に基づき、イギリス人バックパッカーがワーキングホリデービザを延長する前にオーストラリアの農場で88日間働くことを義務付ける条件を廃止することに合意したことを受け、発表されたものです。

この新しいビザは、タイ、カンボジア、ブルネイ、ミャンマー、フィリピン、マレーシア、ラオス、ベトナム、シンガポール、インドネシアの労働者を対象としています。

連邦農務相兼国民党副党首のデビッド・リトルプラウド氏によると、このビザは今年末までに利用可能になる予定です。

労働者不足

政府はCOVID-19 パンデミック・イベント・ビザ408の変更により、国境閉鎖期間中の労働力供給問題を解決することを目指します。

ジュリー・ウィリアムズ氏は、COVID-19における重要産業に、観光業とホスピタリティが追加されたことは、オンショアの留学生にとって有益になると考えています。
観光業やホスピタリティ分野で働く学生ビザ保持者は、一時的に2週間に40時間以上の労働が認められます
また、クリス・ジョンストン氏によると、農業分野で働くその他のテンポラリー・アクティビティ・ビザ(サブクラス408)の保有者は、より長く国内に滞在できるようになると言います。
継続して農業に従事していることを証明できれば、期間終了後も働き続けることが可能となります。

また、ジュリー・ウィリアムズ氏は、オーストラリアの地域で働くオンショアのパシフィック労働者のビザも、2022年4月まで延長されたと付け加えています。
New Australians with Scott Morrison
Migrants who receive their permanent residency on or after 1 January 2022 will have to wait longer to access welfare payments. Source: Wendell Teodoro/Getty Images

優先職業リストの拡大

COVID-19からのオーストラリアの経済回復を支える重要なスキルを補うために2020年に設立された(Priority Migration Skilled Occupation List ・PMSOL)に、会計士、エンジニア、ソフトウェア開発者、シェフなど22の職業が新たに追加されました。

このリストには、雇用者がスポンサーとなるビザ(サブクラス482、サブクラス949、サブクラス186、サブクラス187)を取得できる職業が合計41種類追加されています。PMSOLに掲載されている職業は、優先的に処理されます。

オーストラリアの国境が閉鎖されている間、優先的な職業に就いているテンポラリービザ保持者は、渡航制限の免除を求めることができます。

オーストラリア市民権申請料の値上げ

2021年7月1日より、オーストラリアの市民権を申請する方は、より高い手数料を支払わなければなりません。

付与による市民権(Citizenship by conferral)の申請料金は、285ドルから490ドルになり、72%の増加となります。

また、継承によるオーストラリア市民権(Citizenship by decent)の申請は、従来の230ドルから315ドルに増加されます。

親の申請に含まれる15歳以下の子供は、引き続き無料で処理されますが、子供単独での市民権申請は、180ドルから300ドルになります。

アレックス・ホーク移民相によると、市民権申請の手数料の引き上げは2016年以来初めてです。

「現在の手数料に基づくと、政府は市民権申請の処理費用の約50%しか回収できていない」とホーク氏は声明で述べています。
市民権申請の費用は、依然として他国と同等です  -アレックス・ホーク移民・市民権・移民サービス・多文化問題担当相

新規移住者は福祉を受けるまでの期間が長くなる

2022年1月1日以降に永住権を取得する移民は、生活保護を利用するまでに4年間待たなければなりません。

5月の連邦予算で発表されたところによると、新規移住者は、ケアラー・ペイメント、ケアラー手当、ファミリータックスベネフィットA、B、有給育児休暇などを利用できるまでの待期期間が延長されました。

ジョブシーカー(失業手当)やオズスタディ(25歳以上を対象にした学生手当)、ユース・アローワンス(16〜24歳を対象としたフルタイムの学生・アプレンティスなど)などの支払いを受けるための待機期間はすでに4年となっています。

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Published 30 June 2021 2:24pm
Updated 12 August 2022 3:05pm
By Josipa Kosanovic, Shamsher Kainth
Presented by Yumi Oba


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