Key Points
- 学生は、検知ツールが追いつくまでの間、チャットボットを使ってエッセイを提出している
- 教師や学生は、ボットを教育や学習の補助として利用できると主張
- 教育現場ではChatGPTが2023年のアセスメントでどのように使用されるか、取り組んでいる
マーティンさんが3,000-4,000文字のエッセイを書くのには通常、2-3時間かかりますが、最近は1週間かかると話します。
それは、人工知能チャットボットツール「ChatGPT」を使ってエッセイを作成したからです。エッセイの4分の1は自作です。
またボットが提供する参考文献をクロスチェックするため、さらなる時間がかかりました。
サンフランシスコに拠点を置くOpenAIが11月に発表して以来、このAIツールは、学者たちから「カンニング」や「無料ゴーストライティング」に例えられるようになりました。
しかし、マーティンさんはそうは考えていません。ChatGPTは、英語を母国語としない学生のための教育・学習支援ツールであり、時間の節約にもなると彼は言います。
文献を探すよりも、関連する教材を読むことに時間を費やしていたとマーティンさんは説明しますが、彼はこのツールを使用していることを大学には伝えていません。
私にとってChatGPTは素晴らしいガイダンスと助けになりました。まるでコースを案内してくれているかのようでした。留学生、マーティンさん
「科目の理解の幅が広がりました」とマーティンさんは言います。
創造性を奪う?それとも教育・学習支援に?
ChatGPTのようなツールに過度に依存すると創造性が阻害される可能性があると学者が主張する一方、教室での使用を歓迎する声もあります。
西シドニー大学でメディアを教えるディアオ・ミンミン氏は、今学期は学生にChatGPTの「取材」を依頼する予定だと言います。
「インタビューの質問とChatGPTの回答に基づいて、学生たちに分析とレポートをさせる予定です」
ミンミン氏によると、香港やアメリカの大学では、学生が学内でChatGPTを使用することを禁止しているところもある一方で、オーストラリアの大学は「よりオープンな傾向にある」と話します。
オーストラリアの大学は、ChatGPTを障壁や脅威ではなく、新しい挑戦的な技術として捉えています。ディアオ・ミンミン氏
マーティンさんは、ChatGPTの利点は、まだ英語を勉強中の人にとっての「欠点を上回る」と説明します。
「英文ライティングという点では、ChatGPTの方がより優れています」
「複雑な文字を使う課題はChatGPTに任せた」と話すマーティンさんは、前回の提出物の結果について 「大変満足している」と述べています。
追いつく検知ツール
教育や教育技術を研究する学者たちは、2023年にChatGPTが学生によってどのように使われるのか、検知ツールはいつ追いつくのかに頭を悩ませています。
剽窃検知サービス「Turnitin」の広報担当者は、学生がAIの利点と限界を理解することが重要であると話します。
同社のアジア太平洋地域担当のジェームズ・ソーリー副社長は、AIは今後も存在し続けるとし、教室から完全に排除するのは「無責任」と話します。
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郵便屋さんはもう手紙を持ってこないの?
マーティンさんは、開発中と言われる検知ツールがまだ1、2ヵ月先と聞き、気楽にエッセイを提出できたと言いますが、検知されることをまったく心配していないと言えば、嘘になると話します。
「大学はおそらく迅速に対応するでしょう。データベースを利用し、リバースソフトウェアの研究を行い、バックトレースプログラムがすぐに導入されるでしょう」
ChatGPTの限界
マーティンさんのように多くの人がボットの利点を活用していますが、その一方で信頼性に欠ける面もあったと述べています。
マーティンさんは、チャットボットが数秒のうちにエッセイのような長さの回答を作成するにもかかわらず、その参考文献の多くが信頼できないソースであったことにすぐに気づいたと言います。
ChatGPTが参考文献を示したからといって、それが見つかるとは限らないし、存在するとも限りません。留学生、マーティンさん
「自分で似たような文献を探し、ChatGPTへの質問を絞り込み、作品の再分類を依頼する必要がありました」
「実際、もっと時間がかかりました」
しかし、彼はその努力は報われたと話します。他の学生が忍耐力を失い、ゴーストライターにお金を払って課題を完成させる中、マーティンさんは、自分の学習に役立つ新しい機会をより意識していたと言います。
「今後、芸術系の授業で使うことに抵抗はありません......たとえ参考文献が完璧でなくてもね」
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