1月26日という日、知っておきたい10のこと

オーストラリアデーの1月26日。その日にまつわる、NITVがまとめた歴史です。

Australian flags

Source: AAP Image Mick Tsikas

1: ファースト・フリートがボタニー湾に到着したのは1月26日ではありません

入植者を乗せて英国から派遣された船団ファースト・フリートがボタニー湾に到着したのは、1788年1月18日から20日の間とされています。

船に乗っていた入植者が25日を移住の日と決めました。翌26日朝には現在のサーキュラー辺りとなるシドニー・コーブに入植者が移動し、海軍のサー・アーサー・フィリップと側近たちが、オーストラリアは英国王ジョージ3世のものであると宣言しました。

2: 1824年、オーストラリアで最初の先住民と英国人の合法的な結婚が成立しました

ロバート・ロックとマリア・ロックの結婚式は1824年1月26日にシドニー西部パラマタで行われました。オーストラリアデーとは関係がありませんが、新婦のマリアはオーストラリアと先住民の歴史に名前を残していますのでここで取り上げています。

マリアは有力先住民娘で、先住民の子どもの教育施設パラマタ・ネイティブインスティチュートに入学した最初の先住民でした。1819年、マリアが14歳のときには、学業優秀で、学校の試験でほかの生徒や欧州人学生100人近くよりも成績が良かった話が伝わっています。
St John's Cathedral Church in Parramatta, built 1803 (Wikimedia Commons)
Source: wikimedia commons
マリアは1822年に有力先住民Bennelongの息子ディッキーと結婚しますが、結婚後数週間で夫を病気で亡くします。2年後に再婚したのがロバート・ロックでした。

ロバートは読み書きのできない大工で、囚人としてマリアの担当に割り当てられ、マリアの監督の下に置かれました。結婚式はパラマタのセントジョンズ教会で行われました。

マリアは1831年、当時のダーリング総督に弟の払い下げ地について嘆願し、ブラックタウンで40エーカーの土地を手に入れました(土地はロバートの名義になっています)。さらには1833年にリバプールの土地40エーカー、1843年にはコールビーの土地30エーカーも取得しました。

1878年にマリアが死去した後は土地は子ども9人に相続され、1920年まで子孫が保有していました。

3. 1888年の建国100周年、ヘンリー・パークスの言葉

「連邦の父」と称される政治家ヘンリー・パークス。当時ニューサウスウェールズ州の州首相で建国100周年を祝う式典を計画していたパークスは、「ないとは思うが、祝典で先住民のために何か計画していることはあるのか」と聞かれ、こう反論したそうです。

「私たちが彼らを襲い強奪した過去を、再確認してもらいますか?(And remind them that we have robbed them?)」
Statue of Henry Parkes in Centennial Park
Statue of Henry Parkes in Centennial Park, Sydney. (Centennial Parklands) Source: Centennial Parklands

4: 1938年の先住民による抗議活動 - Day of Mourning

建国150周年を祝うオーストラリアデー。先住民の地位向上などを求める集会からサイレントマーチ、抗議活動へと動きが広がりました。現在でも1月26日を「Day of Mourning」(服喪の日)として、先住民政策などの見直しを求める抗議活動などが行われています。

このほかにも1988年の抗議活動では、1月26日が「Invasion Day」と各地で呼ばれるようになりました。また1992年には、最初の「Survival Day」コンサートが開かれました。
Aborigines day of mourning, Sydney, 26 January 1938 (State Library of NSW)
Em Janeiro de 1938, enquanto era comemorado o “Dia da Austrália”, manifestantes marcharam pelas ruas de Sydney defendendo os direitos dos povos indígenas. Este Source: State Library of NSW

5: 建国150周年、建国当時の再現劇に先住民が出演を強制されました

1938年に行われた建国150年の祝典。その目玉の一つは、ファースト・フリートの上陸とアーサー・フィリップ船長による建国宣言のそれぞれの再現劇でした。

のウェブサイトによると、シドニーの先住民が再現劇への出演を拒否したため、祝典の主催者はニューサウスウェールズ州西部Menindeeから先住民の男性を連れ出しました。そして祝典での再現劇が始まるまでの間、集められた男性をレッドファーン警察兵舎の馬小屋に閉じ込めました。

祝典当日の再現劇では、先住民の男性はファースト・フリートから逃げるように砂浜を走らされました。これは事実とは異なる描写です。

この再現劇は動画が残されていますが、先住民の男性が嫌々出演している様子が分かります。
The First Fleet 're-inactment' (Mitchell Library, State Library of NSW)
Source: Mitchell Library, State Library of NSW

6: 1972年、先住民の「大使館」が設置されました

1972年1月26日、キャンベラにある連邦議会前の芝生に、先住民の男性4人がビーチパラソルを立てて、The Aboriginal Tent Embassyを設置しました。

当時、自分の国なのに正当な地位を得ていないと、連邦政府に対する不満が先住民の間で高まっていました。 当時Aboriginal Tent Embassyの設置に関わった活動家で学者のゲアリー・フォーリー氏は「自分の国なのに外国人として扱われています。ですからほかの外国人と同じように大使館が必要なのです」と語っています。
Aboriginal Tent Embassy, 26 January, 1972
Aboriginal Tent Embassy, 26 January, 1972 (State Library of NSW) Source: State Library of NSW
7: 1988年、4万人以上が抗議デモに参加しました

建国200周年となる1988年1月26日、先住民と先住民を支援する人たち4万人以上が抗議デモを行いました。英国による侵略から200周年の記念として、レッドファーンパークからハイドパーク、シドニーハーバーへと向かいました。

オーストラリアのベトナム戦争への関与に抗議する1970年代のデモを上回る、規模の大きなものでした。
Aboriginal protests on Sydney Harbour on Australia Day celebrations, 1988
Source: Wordpress

8: 1988年、差別と建国200周年祝典への批判を歌う

先住民の歌手アーチー・ローチが歌う「Keep your handouts, give us back our land」。先住民やその土地に対する政府の対応に抗議する曲では、ロックバンドのミッドナイト・オイルも良く知られています。
2016年には、ヒップホップデュオのA.B. Originalが発表した「January 26」が物議をかもしました。
オーストラリアデーを1月26日以外の日に変更することを求める「#ChangeTheDate」が広がるずっと前から、建国記念日の祝典を1月26日に行うことについて批判的な声は上がっていました。

9: オーストラリアデーが全国で祝日となったのは1994年

「オーストラリアデー」という言葉自体は1900年代初めから使われていましたが、1月26日がオーストラリアデーとして全国で祝日になったのは比較的最近のことです。

10: Triple J Hottest 100は必ずしもオーストラリアデーに放送されていたわけではありません

一般からの投票で上位100曲を選び、オーストラリアデーに毎年放送されていた人気音楽番組「The Triple J Hottest 100」。英国による侵略を象徴する1月26日に放送を行うことへの批判もあり、今では1月4週目の週末に放送日を変えています。

変更当時に番組は声明で、「The Hottest 100はオーストラリアデーのイベントとして始まったものではありません」「その年の自分の好きな曲を楽しむために作られた番組です」としています。

1989年から始まったこの番組ですが、最初の放送は1989年3月5日でした。1998年まではオーストラリアデーでの放送が定着しておらず、2004年には1月25日に放送されています。

Triple J poster, 1989
Triple J poster, 1989 (Australian Broadcasting Corporation) Source: ABC Australia

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Published 22 January 2020 5:25pm
Updated 12 August 2022 3:24pm
By Junko Hirabayashi, Sophie Verass, Luke Pearson

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