キーポイント
- オーストラリアは人が住む大陸の中で最も乾燥した国であり、干ばつは頻繁で、暑い日が続き、山火事の危険性も高まります
- オーストラリアにはさまざまな気候帯があり、気温や湿度、植生、季節的な降雨量の違いによって分類される
- オーストラリアでは水は貴重なものですが、気候変動や自然災害、土地の伐採、その他の人間の活動により脅威にさらされています
オーストラリアは、人が住む大陸の中で最も乾燥した国の一つであり、その気候は地域や季節によって降雨量、気温、天候パターンが大きく異なります。
さらに、熱帯の北部から温帯の南部まで、オーストラリアは、熱帯低気圧をはじめ、洪水、熱波、干ばつなど、多くの異常気象にも見舞われます。
オーストラリアの気候は多様な生態系を形成していますが、その多くは水不足により脆弱になっており、気候変動や山火事、干ばつによりさらに脅かされています。
The stark landscape of the Monaro Tablelands which is one of 19 ecosystems collapsing in Australia - Image Greening Australia. Credit: Annette Ruzicka
「オーストラリアは干ばつと洪水の国として知られています。干ばつが何年も続き、暑い日が続き、火災の危険性が高まることもあれば、数カ月にわたって大雨が降り続き、洪水が多発することもあります。」
異常気象
オーストラリアが極端な天候に見舞われる要因はいくつか挙げられます。
Australian climate zones based on temperature and humidity - credit BOM.png
これらの気候帯は、気温と湿度、植生、季節的な降雨量の変化によって分類することができます。
Lake Keepit in New South Wales - Image Wallula-Pixabay
地域における天候、気温、特に降雨量の差は、地域の気候条件に影響を与えるとガンター氏は言います。
「赤道に近い熱帯のオーストラリア北部は、日照時間が長く、季節によって降雨量が多くなります。一方オーストラリア南部は涼しい気候、南西部では夏が暑く乾燥するという地中海性気候が見られます。東海岸は温帯気候で、乾季はなく、夏は暖かく暑い。しかし全体的に見ると、オーストラリアは非常に乾燥した国で、内陸部ではほとんど雨が降りません。」
オーストラリアで水は貴重
水の可用性や干ばつの発生は、農業や地域社会、そしてオーストラリアの環境の健全性に影響を与えます。
国土の半分以上が年間降水量350mm以下であるオーストラリアで、水は貴重です。
「干ばつは少ない降雨量だけでは定義できません。もしそうであれば、オーストラリア内陸部の大部分はほぼ永久に干ばつが続くことになります。気象学者は降雨量の『不足』に注目し、農業学者は第一次産業への影響を評価、水文学者は地表水と地下水位を調べ、社会学者は地域社会への影響によって干ばつを定義します。」
世界で最も乾燥した大陸のひとつであるオーストラリアですが、多様な生物は水のバランスを管理できるようになりました。
Seasonal rainfall zones of Australia - credit BOM.
「国土の一部では洪水に見舞われることもありますが、多くのコミュニティーにとって水の確保は懸念事項です。世界的な乾燥のホットスポットであるオーストラリア南西部では、1970年以来降雨量が20%以上も減少し、その結果、河川の流量が80%以上も減少しています。」
何十億年もかけて進化してきたオーストラリアの多様なランドスケープは、現在さまざまな脅威にさらされているとパーソンズ博士は説明します。
「今、私たちのユニークで脆弱な生態系は、気候変動や自然災害、土地の伐採、その他の人間の活動により脅威にさらされています。それは私たちの国を象徴する自然のアイコンのひとつであるグレートバリアリーフを見ればわかります。私たちが気候変動への緊急対策を講じなければ、2100年までに消滅する危険性があるのです。」
水質の悪化はグレートバリアリーフにとって主な脅威です。毎年、何百万トンもの土砂が浸食された陸地からグレートバリアリーフに流れ込み、魚や海草、サンゴを窒息させ、気候変動の影響から回復しようとするグレートバリアリーフの能力を低下させています。
Coral on the Great Barrier Reef - Image Greening Australia
腎臓のような働きをするプロジェクトを実施しており、沿岸湿地帯を復元しようとしています。」
「2016年にこのリーフ・エイド・プログラムが開始されて以来、4万4千トン以上の水質汚染物質がリーフに流れることを防止してきました。側溝を修復することで、側溝から流出する土砂をほぼ即座に90%削減できることを示してきました。」
パーソンズ博士によると、オーストラリアには世界の生物多様性の約10%が生息しており、その多くはオーストラリア以外では見られません。 その一方で、オーストラリアは、世界で最も生物種の損失率が高い国のひとつです。
「最新のでは、環境は『健康状態が悪いか、悪化してい』」と評価され、少なくとも19の生態系が崩壊の前兆を見せています。今すぐ対策を講じなければ、貴重な自然種や生態系を永遠に失う危険性があります。」
Catherine Ganter is a senior climatologist at the Bureau of Meteorology - Image BOM. Dr Blair Parsons is the Director of Impact at Greening Australia - Image Greening Australia.
気候変動と環境保全の課題に取り組むには、地域、国、そして地球レベルでの努力と変革が必要です。
しかし、個人でも変化をもたらすことはできるとパーソンズ博士は言います。
例えば、より頻繁で深刻な干ばつの可能性が高まる中、私たちは乾燥する気候に行動やランドスケープを適応させることができると説明します。
「都市部では、庭に乾燥に強い植物を植えることで、水やりを減らすと同時に固有動物に生息地を提供することができます。庭の水やりを早朝や午後の遅い時間帯にすることで、蒸発を抑え、水の使用量を減らすこともできます。一方農村部では、土や在来植物を植えることによって自然の水の流れを回復させ、土地に水分を補給することができます。これにより、干ばつに強い農業システムが構築され、土壌の健全性や農業の生産性が確保できるほか、雨が降ったときの洪水をコントロールすることができます。」
異常気象に向けて準備
オーストラリアで起こる異常気象は、人々やインフラに危険を及ぼす可能性があるため、気象局のガンター氏は、それに備えることが重要であると語ります。
- ‘Know your weather, know your risk’ で学ぶ
- 最新の気象情報はから
- 気象局のアプリは
- 緊急サービスはから
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