コロナ禍の開催となった東京2020オリンピック・パラリンピック大会が無事閉幕を迎えました。
海外からの一般客の受け入れが断念され、会場の大半が無観客開催。選手や関係者は会場とホテルの往復を余儀なくされる異例の大会となり、参加国・地域との交流を目的とした各自治体による「ホストタウンプロジェクト」も大きな影響を受けることになりました。
スポーツや文化の交流を通して、地域の活性化と、交流国との末永い絆を目標とした「ホストタウンプロジェクト」は、過去大会にはない、初の試み。
岩手県釜石市は、オーストラリアのホストタウンとして2017年に登録。以降、オーストラリアと様々な交流を行い、絆を深めてきました。
登録のきっかけとなったのは、現在アイルランドのラグビーユニオンクラブ、レスターに所属する、元豪代表スコット・ファーディー選手。
東日本大震災発生時に釜石のラグビーチーム、釜石シーウェイブスRFCに所属していたファーディー選手は帰国することなく、釜石市に残り、チームメイトとともに支援活動を行いました。その感謝の気持ちを込めて、釜石市はオーストラリアを「復興ありがとうホストタウン」に登録したと、釜石市文化スポーツ部国際交流課の麓佐和子(ふもと さわこ)さんは語ります。ホストタウンプロジェクトの一環として、日豪小学生の交流や、タグラグビー交流、オーストラリアの文化やスポーツ、音楽、食べ物などを紹介するイベントなどが開催されてきました。またファーディー選手自身も、復興地へ訪れ、小学生との交流や高校生へのラグビー指導などを行いました。
Scott Fardy at Kosano Elementry School, Kamaishi, Iwate Japan 2018 Source: KAMAISHISHI
As part of host town project, primary school children enjoyed rugby exchange. Source: KAMAISHISHI
釜石市民にとって、同選手は「英雄」であると麓さんは言います。しかし、新型コロナウイルスパンデミックにより、東京五輪を目前にした2020年から、直接的な交流ができず、交流の場はオンラインへと移行しました。釜石とシドニー、メルボルン、ゴールドコーストをオンラインで繋ぐ交流会「KOALA CAMP」や、オーストラリアオリンピック委員会による、オーストラリアと日本の学校をつなげる教育交流プログラム「ともだち2020」のパイロットプログラムなどにも参加してきました。
Scott Fardy engaged in Onigiri making using local rice and ingredients. 2019 Source: KAMAISHISHI
残念ながら今大会、釜石市はオーストラリア選手団と直接接触することはありませんでしたが、大会中は市が一丸となって、テレビやオンラインを通して、オーストラリアへ声援を送り続けました。
ホストタウンプロジェクトをきっかけに、今後もオーストラリアとの交流を続けていきたいと話す麓さん。
「未来を担う青少年が広い世界に目を向けられるように」、子どもたちを中心としたオーストラリアとの交流を継続し、「大きくなったらオーストラリアに行きたい、そう思ってもらえれば」と語ります。
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東京パラ開会式DJ、ファッション・ジャーナリスト 徳永啓太さん
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東京大会後も続く絆 釜石市✕オーストラリア ホストタウンプロジェクト
SBS Japanese
07/09/202109:48
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