オーストラリアは年中暖かく、晴天であると思われがちですが、そうではありません。またオーストラリアの住宅は、暖房システムに関して、一般的に北半球の住宅に遅れをとっていると言われています。
ハイライト
- オーストラリアの家庭用暖房器具は、場所や好みによって異なる
- 屋外用ヒーターを屋内で使用すると、命にかかわることも
- 賃貸住宅は、持ち家に比べ、持続可能な選択肢が限られている
- 小さな変更でエネルギー効率とコスト削減が可能
ドイツ生まれのスヴェン・テスケさんは、これまで「自宅で凍えるよな経験をしたことはない」と語ります。
オーストラリアでは暖房を必要とする時期は最大3ヵ月である一方、ヨーロッパでは8~9ヵ月必要であると語ります。
In-slab floor heating is a form of centralised heating. Source: In-slab floor heating is a form of centralised heating.
セントラルシステム? スプリットシステム?
消費者支援団体Choiceの住宅暖房専門家であるクリス・バーンズ氏によると、家全体を暖かく保ちたいのであれば、セントラルシステムが適していると話します。だだし、セントラルシステムは設置費に加え、効率的に使用されない場合、かなりのコストがかかると話します。
「実際に使用するスペースだけを暖める方が、費用対効果やエネルギー効率に優れています」
たとえば、家の中にスプリットシステムをいくつか導入し、必要に応じてスイッチを入れたり切ったり、あるいはシンプルな携帯用電気ストーブを設置する方法などもあります。
暖房でエコを実現する
シドニー工科大学で「持続可能な未来」の研究ディレクターを務めるスヴェン・テスケ准教授によると、排出ガスを出さない暖房も可能であると言います。
しかし、そのほとんどは設置工事が必要なため、賃貸住宅では簡単に利用することはできません。
ホームオーナーの場合、最も効果的な方法はヒートポンプに投資することです。また電気をソーラーパネルから得ることができれば、この暖房方法は完全に排出ゼロとなります。また准教授は、暖房にエコを取り入れることは、長い目でみると財布にも優しいと話します。
Electricity sourced from solar panels can support emission-free heating systems, like hydronic radiators or a heat pump. Source: Getty Images/Pramote Polyamate
「ソーラーパネルで発電した電気は、多くの利点があります。1つ目は、住宅で実際に電気を作ることで、電力市場の価格に左右されないということです。2つ目は、電気を貯めておけることです。これは、バッテリーシステムのようなものです」
電気システムを使用している場合、グリーン電力の会社に切り替えることで、ゼロまたは大幅に排出量を削減することができますが、ガス暖房の場合、排出ガスを出さないという選択肢はなかなかないと、テスケ氏は言います。
「私はシドニーに住んでおり、賃貸です。ガスボトルがあるので、グリーンバイオガスをボトルで購入することも可能ですが、シドニーでは現在個人的に供給元を見つけることができません」
暖房の安全性
ニューサウスウェールズ州の消防局によると、涼しい季節になると住宅火災が10%増加し、寝室やラウンジでの暖房器具や電気毛布による火災が多くなるそうです。
当局は、ヒートビーズ、炭、LPGを燃料とするものを含め、屋外にある暖房器具や調理器具は家の中で使用しないよう警告しています。また、使用する前に必ず製造元の推奨事項を確認するよう呼びかけてます。
エネルギーを賢く使う
オーストラリア・エネルギー財団のシニアコンサルタントを務めるアンドリュー・レダウェイさんは、キャンベラで政府と提携し、借家人に無料で住宅のエネルギー評価を提供しています。
レダウェイさんによると、住宅の暖房におけるエネルギー損失を避けるためには、天井の断熱材が重要で、次いで壁と床の断熱材であると説明します。そして、暖房の種類に関係なく、効率的な使い方が重要です。
Having the right sized system for your home will save you energy and money Source: Getty Images/Visoot Uthairam
「簡単なコツとしては、必要以上に多くの場所を暖めないようにすることです。つまり、一部屋しか使っていないのであれば、その部屋だけ暖めるようにすれば、ドアを閉めて熱を逃がさないようにすることができます」とレダウェイ氏は言います。
また、ホームオーナーであれ、レンターであれ、エネルギーコストを削減するために、誰もが利用できるオプションは、ドラフトシーリング、いわゆる隙間風を防ぐことであると話します。
「ドラフトシーリングは、冬は暖かく、夏は涼しく過ごすためにできる最も費用対効果の高い方法のひとつです」
最終的には、住宅自体の熱効率、費用対効果の高い持続可能なエネルギー源、そして個人の好みが、適切な暖房を選ぶ決め手となります。
連邦政府、州・テリトリー政府は、家庭のエネルギー効率を向上させるための支援を行っています。家庭の暖房を対象としたプログラムでは、改修に対する金銭的な優遇措置や、専門家による無料のアドバイスが提供されています。
州・準州で利用できるすべてのエネルギーリベートやインセンティブプログラムについては、をご覧ください。https://www.energy.gov.au/rebates
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