シドニー西部では今月、気温が41℃まで上がり、2023年12月以来最も暑い日を記録しました。
「本当にばかげています」とペンリスの住民は語ります。
「毎年暑くなります。まるで太陽の表面にいるようです」。
猛烈な暑さで、シドニーにおける「気候格差(climate inequality)」の問題に関心が向けられています。
都市気候学者のネギン・ナザリアン(Negin Nazarian)博士は SBS Examines に対し、こう語りました。
「(シドニーが)海や水に近いため、東側は海からの風の恩恵を大いに受けています」
「東部の気温は安定的に、シドニー西部より低く保たれています」。
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博士は、急速かつ大規模な都市開発や、生活コストを下げようと他地域から移ってくる急激な人口の流入が、シドニー西部の気温の上昇を助長していると考えています。
気候学者で気候変動適応の専門家、ナイジェル・タッパー名誉教授は SBS Examines に対し、都市で最も暑い地域は通常、社会経済的に最も立場が弱い人たちが住んでいる場所だと指摘します。
タッパー教授によると、緑の空間が少ないことなどで、地上の熱が昼夜問わずこもってしまいます。
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28/08/202408:01
海からの風は気温の上昇を抑えます。それがない地域では、暑さの問題は悪化することになります。
バンクスタウン病院のシニア救急医、ライ・ハン・フーン(Lai Heng Foong)博士は、シドニー西部の都市設計は、気温が上昇しやすい地域の特性に合ったものではないと考えています。
「シドニー南西部はほかの沿岸部の地域と比べて、不当に暑さの影響を受けているといえます」
「十分な緑の空間が設けられないまま、住宅が密集しています。黒い屋根の住宅を建てるなど、(熱を)抑えるための工夫がまったく取り入れられていません」(フーン博士)。
ヒートアイランド現象とは?
都市開発で知られるようになったのが、「ヒートアイランド現象」です。
カナダにあるウォータールー大学のピーター・クランク准教授によると、自然の地面を覆ってしまっていることがこの現象を招いています。
「原因となっているのは基本的に、自然の地面をアスファルトやコンクリート、ガラスや金属など、熱をつかまえる素材で覆ってしまっていることです。自然の地面と同じようには熱を放出しません」。
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その結果、シドニー西部の住民は近年、厳しくなる一方の暑さにさらされています。
今後も気温が上昇するなか、フーン博士はシドニー西部の暑さにどう対応していくのか懸念しています。
今まで通りを続けることはできません。考え直すことが必要ですライ・ハン・フーン博士
「変えるべき最大の点は、焦点をコミュニティーへと向けることです。苦しむことになるのはコミュニティーだからです」
「コミュニティーが教育されれば、(暑さが)自分の命を奪い、健康を大きく害する力を持つ現実の問題であることを理解するようになります」(フーン博士)。
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17/07/202407:43
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