税関で足止め 国外退去の可能性がある規制品目とは?

オーストラリアで関税法に違反した場合、罰金や懲役、場合によっては国外退去処分の可能性もあります。

A man walking past a window at an airport. There are planes parked outside.

Australia is notoriously strict when it comes to going through customs at the airport, with rules about what can be brought in. But some people still try to push the limits. Source: Getty / Mark Evans

キーポイント
  • オーストラリアは、世界で最も厳しい関税規則があります
  • オーストラリアに持ち込むことができる品目に関する規制の多くは、オーストラリアの生物多様性を保護するためのものです
  • 機内食、パンチェッタ、リスなどを持ち込み、捕まる人も
地球の裏側まで旅をして、パンチェッタ(豚バラ肉)が原因で追い返されることを想像してみてください。

今月はじめ、スペインの青年が肉とチーズが原因で国外退去処分となりました。

オーストラリアに入国する人は入国カード( incoming passenger card)を記入し、持ち込む物品について申告する必要があります。
しかし、世界で最も厳しい税関規則があるオーストラリアでは、一体何を持ち込むことができ、何を持ち込むことができないのでしょうか?

動物

オーストラリアに持ち込めるものに関する制限の多くは、オーストラリアの生物多様性を守るためのもので、厳しいバイオセキュリティの管理は、害虫や病気が侵入するリスクを最小限に抑えるのに役立っています。

2018年にはバリ島から渡航したオーストラリア人が、生きたリスを隠し持ち、ブリスベンに到着。

「リスは、バリ島に存在する狂犬病を媒介することができます。もしこの病気がオーストラリアに到着したら、人間と動物の健康への被害は甚大なものになるでしょう」と農務省のクリス・ウォーカー博士は述べています。

農務省はこの事件について、オーストラリアのバイオセキュリティにおいて「深刻なケース」であったと振り返ります。
An Indonesian squirrel on a branch of a banana tree.
A man travelling home to Australia from Bali was found with a squirrel. Source: Getty / NurPhoto
この男には18ヵ月の実刑判決が下され、5年間の善行を条件に直ちに釈放されました。

食料品

特定の食品は、要件を満たせばオーストラリアへの持ち込みが許可されています。

市販のビルトンやジャーキーは一般的に認められていますが、豚肉を使用している場合は、税関を通過することができません。
興味深いのは、ニュージーランド産の肉は一定の基準を満たしていれば、缶に詰められた状態でもオーストラリアに持ち込むことが許可されているものの、機内食は禁じられていることです。

2022年、ブリスベン空港でフライトエンジニアとして従事していた2人の空港職員が、機内食を持ち帰ろうとしたことにより、関税法の令状を発付されました。

1人はダッフルバッグにロールパン、クリスプ、チョコレート、ヨーグルト、肉製品を含む機内食を詰め込んでいるところを発見され、注意を受けました。
Plane food items laid out on the ground.
The airport worker found with these plane food items in a duffle bag risked a fine of thousands of dollars. Source: Supplied / Australian Border Force
このような違法行為には当時、最高で11万1,000ドルの罰金が科されていました。

また、別の男性は、客室乗務員から機内食であった焼き菓子を受け取ったとして、3,300ドルの罰金を科されています。

この男性は同僚に問い詰められ、焼き菓子をゴミ箱に入れたと言います。

植物製品

2020年、パンデミックにより国境を閉鎖する前に、オーストラリアの柑橘類産業に大きな影響を与えうる事件が発生しました。2人の乗客が個別に病原体を持つ柑橘類を持ち込んでいることが判明したのです。
ひとりは1キログラムのライムを、もうひとりは大量の乾燥柑橘類の皮を持ち込み、いずれもシトラスカンカー病原体が確認されました。

2人はこれらを税関で申告していたため、罰金や請求は免れましたが、品物は廃棄されました。

タバコ

2019年、中国人男性8人が未申告のタバコ17万本をオーストラリアに持ち込もうとし、オーストラリアへの入国を拒否されました。

少量のタバコやアルコールを関税を払わずに持ち込むことは可能ですが、これらの品目は申告が必要で、男性たちはそれを行っていませんでした。
A list of the items travellers must declare on entry to Australia.
A list of items travellers must declare on entry. Source: SBS
18歳以上の旅行者は、25本までの未開封のタバコ1箱と開封済みのタバコ1箱を持ち込むことができます。

これは免税範囲とされているもので、それ以上持ち込む人は関税を支払わなければなりません。

物品を申告する場合

カードに記載されている物品を所持しているにもかかわらず、申告していないことが判明した場合、旅行者は罰金または起訴される可能性があります。

税関職員が品目についてさらに質問をすることがあり、さらには生物安全保障担当官がその品目を評価することもあります。

多くの場合、検査が終わると品物は返されます。

また木彫りなどの一部の物品は、安全にするための処理が必要な場合があります。

また、オーストラリアへの入国が一切許可されていない物品もあります。これらを押収された場合、輸出されるか、破棄される可能性があります。

また、空港の到着ターミナルには、物品を処分するために利用できる指定ゴミ箱も設置されています。

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Published 27 January 2023 11:23am
By Aleisha Orr
Presented by Yumi Oba
Source: SBS


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