「もう自分にも他人にも嘘をつかない」オープンリーゲイの道を選んだ元消防士と元警察官

ゲイであることをオープンにして生きるため退職した、元消防士と元警察官。今年のマルディグラパレードで、日本人フロートの先頭を切ります。

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Kane (L) and Kotfe (R) are advocates for the LGBTIQ+ community in Japan. Credit: Susumu Okugawa

交際から12年目を迎えた元消防士のKane(カネ)さんと元警察官のKotfe(コッフェ)さん。長年日本で生活をともにしてきたふたりですが、KaneさんとKotfeさんは法的に結婚することができません。

日本の法律上ふたりは「赤の他人」であると話すKotfeさん。

日本は主要7ヵ国(G7)で唯一同性婚を完全に認めておらず、同性カップルは法的保護を得ることもできません。

KaneさんとKotfeさんは日本の現状をより世界に知ってもらうため、3月2日に開催されるマルディグラパレードに参加。他50名とともに日本から来豪します。
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Kane and Kotfe at Tokyo Rainbow Pride in 2023. Credit: Kane and Kotfe
Kotfeさんが自身のセクシュアリティに気づいたのは9歳の頃。

「誰に言われたことでもないけど、同性を好きになることはよくないこと」と幼いながら思っていたと言います。

幼少期から親や兄弟の顔色を見て、同性愛者への差別偏見意識を感じてきたといKotfeさんは、41歳になった現在も家族に直接カミングアウトしておらず、絶縁状態であると説明します。

Kotfeさんは19歳の頃、一度だけ親友にカミングアウトしていますが、その後は警察官という仮面に隠れて「嘘の生活」を続けていたと話します。
職場でゲイっていうことがバレてしまったら、ゲームオーバーだ、という感覚で働いてきました
Kohei 'Kotfe' Katsuyama
Kaneさんがセクシュアリティに気づいたのは、消防士としてのキャリアがはじまる前の20代の頃。

しかし男性社会で活動していたKaneさんは、働きずらさを感じつつも、現状から目を背け、社会から弾圧されていることさえ気づいていなかったと振り返ります。

現在37歳のKaneさんが家族にカミングアウトしたのはつい最近のことであったと言います。
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The couple had different journeys to self-acceptance and met through a dating site for gay people. Credit: Kane and Kotfe
ふたりは2011年、出会い系サイトで知り合い、交際をスタート。

私生活は幸せであったものの、「職場でゲイであることがバレたらどうしよう」という恐怖心とともの生活はやがて、ふたりの健康に影響を及ぼすようになりました。

「理不尽な人事異動だったり、昇進にひびくんじゃないか、気持ち悪いとか、差別偏見な目で同僚からみられるのでないか、という恐怖心の中で仕事をしていました」、と話すKotfeさん。

その後、会社で倒れ、適応障害と診断。一方Kaneさんも職場で過呼吸を経験したことがあると言います。

ふたりは2021年に退職し、京都から東京へと移り住み、自分にも他人も嘘をつかないことを誓い、新たな生活をスタートしました。
残りの人生嘘をついて生きたくなかった
Kotfe
オープンに暮らすことで、視野も出会いも広がったと話すKaneさん。
人生が180度変わり、考え方も変わりました
Kaneshige 'Kane' Hirata
上京後、ふたりはパートナーシップ・サティフィケートを取得。

2015年に始まったパートナーシップ制度により、LGBTQIA+コミュニティへの理解は深まった一方で、この制度により同性カップルが得られる権利は限られており、相続や親権、病院での面会権などの問題は解決しません。

によると、制度が導入された2015年から現在までに、390を超える自治体でパートナーシップ制度が施行されています。

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In 2021, the pair obtained their partnership certificate. Credit: Kane and Kotfe
東京でオープンな生活を始めたふたりは、自身のを開設し、LGBTQIA+の啓発活動をはじめ、小学校なども講演するようになりました。

2022年には、「愛し合っているふたりがなぜ結婚できないのか」を訴えるため模擬挙式をあげ、注目を集めました。

ふたりは日本の現状をより世界に知ってもらうため、今年のマルディグラパレードに参加します。

今年は2つの日本人フロートが出場しますが、KaneさんとKotfeさんは日本のNPO団体、カラフルチェンジラボのフロートをリードします。

フロートは神社での挙式をイメージしており、ふたりは袴を着て歩くそうです。

日本が学ぶべき、オーストラリアにおけるダイバーシティ

カラフルチェンジラボの三浦 暢久代表理事は今回企画したツアーについて、ただきらびやかで臨場感あふれるパレードに参加するのではなく、NSW州の行政や企業、教育機関を訪問し、オーストラリアがどのように多様性に取り組み、ダイバーシティが日常生活にどう溶け込んでいるかを体感できるものになっていると話します。
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Representative director of Colourful Change Lab, Nobuhisa Miura. Credit: Nobuhisa Miura
三浦さんは2019年に初めてシドニーを訪れた際公園で目にした、年配のゲイカップルに衝撃を受けたと言います。

「誰も気にとめないこの感じ、当たり前に普通にみなさんが普通に自分の生活を送っている。日本では絶対見れない風景だったんです」

日本ではパートナーと堂々とカップルという雰囲気を出して歩くことができない、と話す三浦さん。

「日本でダイバーシティを形にするには、まずは体感しないといけない」と改めて感じたと言います。

オーストラリアからのサポート

2022年のマルディグラパレードに初めて登場した日本人フロート、ジェンダ―フリージャパニーズ(GFJ)を中継で観ていたという三浦さん。

「とてもうれしかったですし、オーストラリアの日系コミュニティが結婚の平等を訴えていることに励まされました。」
GFJの代表、コーキさんは、活動が日本にも届いたことについて「とても心強い」と話します。

「声をあげられる人を見つけ、協力して動くことがこれから住みやすい日本にするためにとても大切だと感じています。」
日本では同性婚が認められていないと話すとびっくりされることが多く、世界の人は知らないんだなと感じます。
Koki
Mardi Gras Japanese gender free
Organisers of the Japanese float for the 2022 Mardi Gras parade, Ayaka (L) and Koki (R). Credit: Toboji
今年のマルディグラでGFJは伝統的なハッピを着て5色で彩るほか、太鼓団体YuNiOnとのコラボレーションも繰り広げます。

「まずは身近に感じてもらうきっかけになって、少しずつ日本が変わっていけばいいなと感じています。」

第46回シドニー・ゲイ&レズビアン・マルディグラ・パレードは、2024年のフェスティバルテーマ「Our Future」を掲げ、3月2日に開催されます。

日本の2つのフロートは、LGBTQIA+の権利と多様性を訴え、日本のより良い未来を提唱します。
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Published 28 February 2024 2:28pm
By Yumi Oba
Source: SBS


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