愛する人を亡くした家族はショックや喪失感により、次に何をするべきか、わからなくなることがあります。多くの人にとって、それは初めての経験かもしれません。
キーポイント:
- 愛する人の予期せぬ死は、特に新規移住者にとっては、未知なる体験かもしれない
- 葬儀ディレクターは、すべての手続きが適切な方法で実施されるよう務める
- 検死官は、死に関するより多くの情報が必要とされる特定のシナリオに関与する
- Births, Deaths and Marriages Registryは、死亡証明書の発行や死亡に関する情報を複数の組織に伝えるなど、さまざまなサービスを提供している
際の手続きは、他の国とはかなり異なる場合があります。
葬儀ディレクターに連絡する
シドニーの葬儀屋、Sydney Funeral Co.で葬儀ディレクターを務めるスコット・ダンカム氏は、このような状況下では、まず葬儀屋に連絡を取るべきだと話します。
「葬儀ディレクターには知識と理解があるほか、遺体をオーストラリアに残す、または海外に送還する場合でも、すべての手続きを熟知しているからです」。
この困難で不安な時期は、物事を急がないことが重要です。葬儀ディレクターは、家族と密接に協力して、適切かつ手頃な価格の葬儀サービスを見つけてくれます。
「連絡をいただいてから数日間やりとりをし、ほとんどの場合、葬儀は死後5~10日後に執り行われます」
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死亡登録
葬儀を執り行う上で最も重要なのは死亡の登録をすることです。
葬儀ディレクターは Births, Deaths, and Marriages Registry(出生・死亡・婚姻登録所)と密接に連携し、死亡登録の手助けをしてくれます。
ニューサウスウェールズ州の Births, Deaths, and Marriages Registryでレジスター代理を務めるアミット・パディアール氏によると、死亡登録書に必要な情報は、ほとんどの場合、葬儀ディレクターによって提供されると言います。
全国のBirths, Deaths and Marriages Registryの第一の役割はまず、州やテリトリーで起きた死亡を登録することです
「多くの場合、これらの手続きは葬儀ディレクターを通して行われ、死亡登録に必要な情報を提供してくれます」とパディアール氏は語ります。
死亡証明書とは?
死亡証明書とは、死亡を証明する公的な記録であるほか、亡くなった人との関係を証明するものでもあります。死亡証明書は、死亡管理プロセスを通じて家族をサポートするものです。
死亡証明書は、死亡した人の詳細を確認した後、登記所が発行します。
死亡証明書には、その人の詳細、家族関係、医者や検視官から提供された医学的な死因に関する情報など、重要な情報が含まれています
死を取り巻く原因やその他の要因を調査することが必要な場合は、検視官が従事することになります。
Source: Getty Images/Kris Loertscher/EyeEm
検視官の役割
死亡した人の身元を確定することは、検視官が行う役割の一つであると、ビクトリア州の副検視官ジャッキー・ホーキンス氏は説明します。
「殺人や交通事故、自殺、オーバードースなど、予期せぬ死や原因不明の死を調査することです。ビクトリア州では、年間7000件ほどあります」
ホーキンス氏によると、検視官の主な役割は、主に以下3つの件を立証することです。
- 亡くなった方の身元
- 死因
- 死亡に関連する状況、そして可能な限り、その状況を明らかにすること
「また、同様の死亡を防ぎ、ビクトリア州のコミュニティーを保護するための勧告を行うよう努めます」と彼女は言います。
検視官が関与する場合、死因を特定するために検視官が行わなければならないさまざまな検査によって、葬儀を手配するまでの期間が異なる可能性があります。
葬儀は、死亡証明書が発行され、その他の手続きが完了した後に執り行われます。
Japanese funeral scene Source: Getty Images/Arrow
葬儀の種類
オーストラリアでは土葬と火葬の選択がありますが、何を選ぶかは家族の自由です。これは、家族の文化的、宗教的伝統によって決められるものであると、ダンカム氏は説明します。
オーストラリアは多文化社会であり、葬儀ディレクターは文化的な希望に応えられるよう、さまざまなコミュニティーと密接に働いています。
オーストラリアは多文化社会のため、葬儀ディレクターのほとんどは、すべての社会とすべての文化にわたって仕事をします
重要なのは、さまざまな葬儀ディレクターと話し、家族の文化的・宗教的な希望に最も応えることができる選択肢を見つけることです。
例えば、イスラム法によれば、葬儀の準備は愛する人の死後すぐに始めなければならず、できるだけ早く埋葬しなければなりません。
そのため遺族は、地元のイスラム教団体に連絡を取り、葬儀の計画を手伝ってもらったり、またイスラム教の葬儀を専門に行う葬儀屋、過去にイスラム教徒の家族と仕事した経験を持つなどに依頼する必要があります。
Funerals can be costly Source: Getty Images/Peter Dazaeley
葬儀費
「特に新しく移住してきた人たちは、葬儀にかかる費用に頭を悩ませることが多いようです」と話すのは、メルボルンの南東部に住むマシュー・クリアコセさん。
数年前に家族が亡くなった際、クリアコセさんは手ごろな価格かつ良いサービスの葬儀屋を探すため、いくつかの葬儀屋に問い合わせる必要があったと振り返ります。
オーストラリアでは、平均して、葬儀には4,000ドルから1万5,000ドル以上の費用がかかると言われています。
もし家族に葬儀費を支払う余裕がなく、故人の遺産も十分でない場合、政府は基本的な葬儀の費用を負担します。
あなたの言語でサポート
検死官が関与する場合、カウンセリングの紹介を含む、多文化社会をサポートするさまざまな措置が設けられているとホーキンスさんは言います。
すべての家族に、「What happens now(これからどうなるのか)」というパンフレットが配布され、プロセスをわかりやすく説明します。これらの文書、またその他のドキュメントは、で見ることができます。
ドキュメントによっては、アラビア語、ペルシャ語、フィリピン語、インドネシア語、イタリア語、日本語など、最も広く使われている15の言語に翻訳されています
「ニューサウスウェールズ州政府は、エンドオブライフプランナーというツールを提供しており、自分で判断する能力を失ったときや、自分が亡くなった場合に、遺言や重要種類の準備、委任状などを希望通りに管理できるようにすることができます」また、亡くなられた方のビザによって、ビザに関する要件もあり、故人の出身国の大使館に渡す関連書類を準備する必要があります。
Family at grave Source: Getty Images/Phillippe Lissac
葬儀ディレクターは、これが適切に行われるよう、さまざまな機関と緊密に連携している、とダンカム氏は言います。
葬儀ディレクターは 遺体や遺灰を本国に送還できるよう、承認を得ます
国内で火葬も埋葬も行われる場合、葬儀ディレクターの立場からは、大使館に報告することはなく、遺族が一連のプロセスを終えてから、当局に報告することとなります。
死亡通知サービス
(DNS)は、複数の組織に死亡を通知するためのプラットフォームです。 これは、登録機関に一括して死亡通知を提供する無料の全国サービスで、オーストラリア全土で約70の組織が参加しています。
DNSに参加している組織の中には、銀行や電気通信、公共事業、保険、その他の政府機関などがあります。
このプラットフォームは、50の言語での翻訳サービスも提供しています。
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