コロナ禍、ゲームで孫との絆を深める方法とは?

コロナによる旅行の制限で、物理的に家族や親戚に会えることができなくなった今、専門家はビデオゲームが、世代間の繋がりを維持する答えであるかもしれないと述べています。

Grandpa and grandson on devices

Source: Getty Images/Eternity in an instant

キーポイント

  • ボンド大学の報告書、『デジタル・オーストラリア2020』によると、オーストラリアのビデオゲーマーの10%が定年年齢であることが判明しました
  • 『デジタル・オーストラリア2020』の報告書によると、65歳+の42%がビデオゲームをプレイしていることが明らかになりました
  • ビデオゲームは老年期の認知機能を高めることができるという研究結果が出ています

COVID-19は、家族や親戚との繋がりに多大な影響をもたらしてしまいましたが、ニューサウスウェールズ州の高齢者施設フェロスケアでは、ビデオゲームを通じ、規制によって敷かれた物理的境界線を乗り越えて、孫とバーチャル空間で接している人たちがいます。

フェロスケアのポジティブ・リビング・コーディネーター、アレックス・マッコード氏によると、このアイデアは「繋がりたい」という願望から生まれたものだと言います。

マッコード氏は、ビデオチャット(スカイプやズームなど)とゲームの違いは、ゲームの場合、会話の話題を見つけないといけない、というプレッシャーから解放されることだと考えています。
祖父母と孫の両方を引き込むアクティビティがあるのです
マッコード氏がCOVID-19以前に、80歳+の参加者24人を対象に神経心理学的テストを行ったプロジェクトでは、ビデオゲームが高齢者の認知機能を改善したという結果を得られました。これは、他の研究知見をサポートする結果でもあります。

研究では、ワーキングメモリー、タスクの切り替え、視覚的注意力に有意な結果が得られましたが、ワーキングメモリーの特定のケースでは、参加者がビデオゲームのプレイを停止した場合、学んできたことが少し後退することもわかりました。
ビデオゲームが有効であるためには、それを継続的する必要があります
Feros care gaming session
Source: Supplied
ビデオゲームがもたらす有効性の流れを止めないために、スクールホリデー期間中、近くに住む孫たちが招待されると、プロジェクトの流れもいっきに変わりました。
ティーンエージャーたちは祖父母と触れ合うことを心地よく感じ、また祖父母もこの触れ合いの大切さを理解していました
コミュニケーションとメディアの分野で国際的に有名な、ボンド大学のジェフリー・ブランド教授が行った『デジタル・オーストラリア2020』の調査によると、65歳+の42%がビデオゲームをプレイしていることが明らかになったほか、オーストラリアのビデオゲーマーの10%が定年年齢であることも判明しました
同じ物理的な空間で一緒に遊べないことから、オンラインででの遊びのニーズが生まれました
年配層のゲーマーは戦略ゲームをはじめ、カードゲームやボードゲームといったクラシックなゲームをオンライン上で楽しむ傾向があるようですが、ブランド教授によるとコロナ禍で、ブロックを使った3Dバーチャルリアリティの世界を構築するゲーム、「マインクラフト」が再流行していると指摘しています。

教授は、世界中でステイホームを余儀なくされた昨年3月下旬から4月にかけて、マインクラフトのサーバーが過去最高のトラフィックを記録したことを発表したYouGovの調査に言及し、世界中で多くの世代間家族がともにゲームを楽しんでいたと述べています。
このゲームの中では、話すこともできますし、ビルドすることもできるのです
Boy playing Minecraft
Source: Getty Images
NSW州リレーションシップ・オーストラリアのCEO、エリザべス・ショウ氏は、コロナ禍は孫との関わりが制限されることもありますが、「オンラインになれば家族とのつながりに新たな可能性が開ける」と述べています。
時には子供たちの世界に入り込むことも必要です
一方で、孫たちが自分たちの世界から出て、祖父母の世界に足を入れることも大切だと、ショウ氏は語ります。

コンピューターゲームを学ぶことは、新たな言語を学ぶようなものであり、多国籍の家族にとっては、音楽やグラフィックを用いたゲームは、文化や言語の壁を超越したコミュニケーションツールになることもある、とブランド教授とマッコード氏は述べています。
理論的に、ゲームをプレイするために、英語を使う必要はありません
またブランド教授は、プレイヤーが現実世界の側面を再現できるゲームは、教育ツールとして役立つとも考えています。

アメリカで実施された研究では、65歳+の定年者は、マインクラフトを学ぶのに苦労したものの、孫とともに遊び続ける過程で、絆を築き、多くの貴重な物語を伝えられるきっかけともなりました。
孫とともに遊ぶことで、多くの貴重なつながりが生まれました

Grandma and grandson playing
Source: Getty Images/Robynne O’Halloran
自国の言語や文化を取り入れたゲームの開発が増加するなかで、プレイヤーはより多様な選択肢から選べるようになったとブランド教授は述べています。

マッコード氏は、70代半ばから90代までの新規ゲーマーとの経験から、成功の秘訣は、これらの年配層が最初に、ビデオゲームに精通した人たちから、オリエンテーションやトレーニングをしてもらうことだと考えています。それは、孫たちが技術に疎い祖父母に教える忍耐力があるとは限らないからです。

ゲームをこれからはじめようとする年配層が1対1のサポートを受けることは、とても重要である、とマッコード氏は強調しています。
これは子供たちにも、私にもできることです。一緒にやってみませんか?

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Couple using device
Older couple using device Source: Getty Images/Geber86


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Published 11 February 2021 10:40am
By Amy Chien-Yu Wang
Presented by Yumi Oba


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