NAIDOC
NAIDOCとは、National Aboriginal and Islanders Day Observance Committee(ナショナル・アボリジナル・アンド・アイランダーズ・デー・オブ・オブザーバンス・コミッティ)の頭文字をとったものです。もともとは喪に服す日として始まりましたが、その後、アボリジニとトレス海峡諸島民のための1週間の祭典へと発展しました。
今年のNAIDOCウィークのテーマである「ヒール・カントリー!」は、環境、聖地、そしてその土地の伝統的な所有者の文化遺産と密接に結びついたすべてのものをよりよく保護することを求めています。
ステイス・パイパー氏は、ウルンジェリ ディとジャ ディジャ ウルンの女性で、ビクトリア州NAIDOC委員会の委員長です。このテーマは、オーストラリアを故郷とするすべての人々にとって非常に重要な意味を持っていると彼女は言います。
我々は健全な国とは、健康な人々を意味すると信じています
ヒール・カントリー: リスペクト
NAIDOC Week ウィーク2021は7月4日から7月11日まで開催されます。
今年のテーマは「ヒール・カントリー!」。土地に責任を持ち、すべての生き物、スピリチュアリティ、アイデンティティ、ストーリー、信念など、土地に関係するすべてのものに敬意を示すことを意味しています。また、何千年にもわたって行われてきた伝統的な土地管理の方法を認識すること、すなわち国を大切にすることを示しています。
A boulder on top of Cypress Pine Lookout at Namadgi National Park. Source: Getty Images/Jonathan Steinbeck
ナナワル族の男性、ワリ―・ベルさんは、キャンベラ地域の文化遺産の保存と保護に取り組んでいます。彼は伝統的な管理人として、この地域の文化的慣習を守っています。
「ナナワル族の男性として、私はアインズリー山に立ち入ることはできません。山のふもとを回ることはできますが、中に入ることはできません。なぜなら、そこでは女性にとって神聖なことが行われ、秘密にされているからで、私はそれについて何も知ることができないからです」
ヒール・カントリー: 探索
ワリ―・ベルさんによると、キャンベラ地域にはアボリジニにとって重要な場所が何千もあり、その多くは一般の人もアクセスできるようになっています。
「ナマジ国立公園にあるロックアートの遺跡は、主にブッシュウォーキングが好きな人にお勧めです。自然保護区の中を歩くのが好きな人には、理想的な場所だと思います」
シドニーのCBDから北へ25kmのところにあるクーリンガイ・チェイス国立公園には350に及ぶアボリジニの遺跡があり、その数は記録されたものではオーストラリアで最も多い場所のひとつと言われています。ここでは、アボリジナル・ヘリテージ・ウォークに参加して、重要なロック・アートや彫刻を見ることができます。
また、都市の中心部にも重要な遺跡があります。重要な文化エリアである、パースのキングス・パークにはブジャ・ナリング・ウォークがあり、このコースは、男性用と女性用に分かれており、それぞれの伝統的な役割と知識を表現しています。
Kings Park in Perth is an important cultural area where you will find the Boodja Gnarning Walk. Source: GREG WOOD/AFP via Getty Images
メルボルンでは、リスナーにAR(拡張現実)体験を提供する新しいプロジェクトが実施されようとしています。
ヤリング―スのワーキンググループのメンバーで、ヨルタヨルタ族である、ボビー・ニコルズ氏は、象徴的なガートルード・ストリートに沿って案内される、豊かで多様なストーリーの収集に貢献しました。
「ガートルード・ストリートは、50年代、60年代、70年代にアボリジニの大半が住んでいた場所なので、人々が集うビーコンやライトタワーのようなものでした」と語っています。
Charcoal Lane mural in Melbourne's Gertrudge St, Fitzroy by Gunnai Waradgerie artist Robert young. Source: NITV News
ヒール・カントリー: 学ぶ
「ヒール・カントリー!」は、土地や文化遺産を大切にすることが、オーストラリア人一人ひとりに課せられた責任であることを思い出させてくれると、ステイシー・パイパーさんは言います。
「自ら学びましょう。オンラインの情報源もありますし、それは、自分が住んでいる国とのつながり(ここが誰の国で、その地域の歴史を知る)、自分自身の旅の一部です」
CSIROは、ノーザンテリトリーと西オーストラリアの先住民グループと協力して、先住民が持つ生態系の知識の深さを示すカレンダーシリーズを制作しました。
ステイシー・パイパーは、「ヒール・カントリー!」とは、意図的な関与を意味すると言います。
「ここに住む誰もが、私たちがいつもしてきたように、この国を大切にしなければなりません。私たちがしてきたように、この国を見て、訪れて、世話をして、敬意を払う。それはすべて癒しの一部であり、私たちをもその代わりに癒されるのです」
NAIDOCウィークは、環境に身を置くことで、周囲の環境や伝統的な先住民族の文化遺産に対する見方を改める機会となるでしょう。
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