スタジオジブリ初となる全編3DCG長編映画『アーヤと魔女（英語タイトル：Earwig and the Witch）』がオーストラリア全国にて、上映が開始しました。
同作の監督を務めるのは、『ゲト戦記』や『コクリコ坂から』などで知られる宮崎吾朗氏。
TVシリーズ『山賊の娘ローニャ』では手書きとCGを融合させた経験を持つ吾朗監督ですが、フルで3DCGを取り組んだのは今回が初めてです。
『山賊の娘ローニャ』を終えてからは、「次に長編作品を手掛けるのならフル3DCGに取り組みたいと考えていた」と語る吾朗監督は、「優れた手描きのアニメーションを生み出してきたスタジオジブリにおいて、セルルック（セル画風のスタイル）を採用する理由がなかった」、せっかくCGでやるなら、「フル3DCGに挑戦すべきだと考えました」とSBSに語りました。
Goro Miyazaki, director of "Earwig and the Witch" Source: Studio Ghibli
『アーヤと魔女』の原作者は、ジブリの名作『ハウルの動く城』と同じ、ダイアナ・ウィン・ジョーンズさん。
彼女の魅力は「巧みなストーリーや魅力的な世界観」、そして「一癖も二癖もある登場人物たちが、その個性を遠慮なく発揮し、自身の欲求に正直に生きているエネルギッシュな姿」と語ります。
『アーヤと魔女』の映画化の決め手となったのも、アーヤの魅力だっという吾朗監督。
「普通で言えば、アーヤは決して良い子ではありませんが、そこが魅力なのです。自分の望まない状況にあっても、それをどううまいことすり抜けていくかを考え、行動することができる。また、そのためには周囲を操るようなこともする、知恵と賢さを持った女の子です」
自分が魔女の娘であることを知らず、孤児院で育った主人公のアーヤは10歳。そんな多感な時期の彼女の豊かな表情や動作を細かく描写できるのもＣＧのメリット。
手書きのアニメーションでは、キャラクターを描きながら、"自由に芝居をさせる”というのは大変な技術と経験、そして才能が求められる一方で、CGでは「モデリングされたキャラクターを動かすことに集中できる」、「それによって、さまざまな所作が組み合わされた複雑な芝居も可能になるのです」と言います。
Source: Studio Ghibli
そんな表情豊かで個性あふれるアーヤの声を務めたのが、13歳の女優平澤宏々路さんです。
「彼女の声には独特の魅力があるうえに、彼女の物おじしないところがアーヤにピッタリでした」。
そして吹き替え版でアーヤの声を務めるのも同じく13歳のテイラー・ペイジ・ヘンダーソンさん。昨年ミュージカルデビューを果たしたばかりですが、平澤さんと同じ魅力を感じたと監督は言います。
「考えてから行動するのではなく、行動しながら考えるようなキャラクター作りにこだわりました」
先週開催されたプレミア公開に参加した、13歳のジブリファンは、「アーヤが笑ったり、怒ったり、ふてくされたり、とても忙しいところが、自分を見ているみたいで面白かったです。友達とまた観に行きたいです」とSBSに語りました。
「アーヤと魔女を気にいっていただけると幸いです」と語る吾朗監督。
「いつの時代だって子どもたちはそれぞれに大変なのです。そんな子どもたちを勇気づけ、応援できればいいなと思いながら、いつも作品を作っています。そして、子どもたちと一緒に、大人たちも元気になってもらえれば、本当に嬉しいです」
Source: Studio Ghibli
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