変化に気づこう、助けをもとめるべき時期とサイン

自殺は愛する家族や友人に深い心の傷を残し、なぜその兆候に気づくことができなかったのだろうという罪悪感も生み出してしまいます。人が助けを必要とするとき、それを見分けるサインがあるのはご存知ですか?

Woman consoling crying friend

Credit: Westend61/Getty Images

どのような原因であれ、死は残された家族や友人に壊滅的な影響を与えるものです。

しかし自殺の場合、なぜその兆候に気づくことができなかったのだろうという罪悪感も生み出してしまうと、ライフライン・オーストラリアのチーフ・リサーチ・オフィサーであるアンナ・ブルック氏は話します。

警告サインを認識し、自殺を考えている人にどのように話しかけ、耳を傾けるか、そしてどこに助けを求めればよいかを知ることで、違いを生み出すことができるとブルック氏はSBSに語ります。

「自殺について話す際、それまでの歩みやストーリーがそれぞれ異なることを忘れてはいけません。そして何よりも変化に注意することです」

失業や婚姻関係の破綻、家族の困難、健康上の問題など、状況の変化はしばしば引き金となります。

このような状況は、何の前触れもなく、あるいは本人の責任によって起こりえますが、その人の人生の「転換期」になりうるとブルック博士は説明します。

注意すべき兆候:
  • 人間関係からの離脱
  • 睡眠パターンの変化
  • 集中力の低下
  • 死や自傷について考える・話す
  • 絶望感、無価値感、無力感を表す
自殺を取り巻く理由は非常に複雑で、複数の要因によって引き起こされることが多いと考えられています。

また、苦痛に対する経験や反応は個人によって異なることが多く、明らかな徴候がない場合もあります。

そのため、家族や友人の赤信号を発するような行動を見かけたら、「自分の直感に従う」ことが重要であるとブルック博士は言います。

その瞬間に立ち会い、その瞬間にとどまる

誰かが自傷行為の兆候を示したり、その考えを示した場合、「その人に向き合い、寄り添い、確認する」ことが重要であるとブルック氏は言います。

自分の命を絶つことを考えているかどうか、「直接、はっきりと尋ねてください」。
聞くのはOKです、聞くことが重要なのです
Dr Anna Brook, national manager for Lifeline Research Foundation
よくある誤解のひとつに、自殺について話すと自殺念慮が誘発されるという考えがあるとブルック氏は言います。

「しかし、そうではないことを私たちは知っています」

実際、この話題をストレートに持ち出すことで、自殺願望と闘っている人たちの重荷を下ろすことができ、あなたが気にかけていること、理解していること、聞く用意があることを示すことにもなります。

もし自傷行為について打ち明けられたら、「その瞬間に立ち会い、その瞬間にとどまる」ようブルック氏は説明します。

自分の気持ちを打ち明けるよう話しかけ、共感を持って、批判せずに耳を傾けましょう。

「もっと詳しく教えてください」、「どう感じていますか」など、自由形式の質問をして、相手が自分の気持ちを表現できるように助けてください。

どこへ助けを求める?

自傷行為や自殺について相談されることは、ときに怖く、困難なことかもしれません。

自殺願望と闘っている人、そして支えようとしている人にもあらゆる支援やリソースがあります。

差し迫った危険がある場合は、迷わず000に電話してください。

苦しんではいるものの差し迫った危険がない場合は、Lifeline(13 11 14)やBeyond Blue(1300 22 4636)など、24時間、年中無休で利用できるサービスがあります。テキストやチャットのサービスもあります。

英語が話せなくても、Translating and Interpreting Service(TIS 13 14 50)に電話すれば、その支援にアクセスすることができます。

またMental Health Federation Australiaも多言語チャットボットサービス(下記参照)を開始し、あなたの言語でサポートを提供しています。

GPや心理学者、カウンセラーの予約がすぐに取れる場合は、それらも検討すべきだとブルック氏は言います。

しかし最も重要なのは、自殺願望を相談された人を適切な支援につなげることで「次のステップを整える」ことです。

また支援につなげることができた後も、頻繁に連絡を取り、あなたが気にかけていること、そして今後もその人に寄り添っていきたいことを伝えることが重要であると説明します。

CALDコミュニティにおけるスティグマ

言葉や文化の壁は、人々が必要なサポートを受けることを妨げるかもしれません。

Mental Health Federation Australia(MFHA)のバサン・スリニバサンCEOによると、CALDコミュニティはオーストラリアにおける年間自殺者数の約21%を占めており、これは700人以上に相当すると言います。

スリニバサン氏によると、CALDコミュニティでは自殺などの問題を議論することに大きな偏見があると説明します。
残念ながら、私たちはメンタルヘルスについて語らず、メンタルヘルスに価値を見出さません。隠そうとしてしまいます。
Vasan Srinivasan, CEO of Mental Health Foundation Australia
スリニバサン氏は、オーストラリア人がCALDコミュニティと自殺について話し合う際には、これらの要因を考慮し、文化的に敏感で、尊重し、力を与える方法でアプローチする必要があると話します。

CALD コミュニティが助けを求められる場所

MHFAは90以上のコミュニティと連携し、悩んでいる人をサポートするだけでなく、メンタルヘルスに関する教育や意識向上も図っています。

同団体は昨年、多言語チャットボットを立ち上げ、114言語で24時間365日、メンタルヘルスサポートを提供しています。
チャットボットは初日だけでも1,760件のチャットを記録し、「自殺と不安」が最も多く相談されたトピックでした。

相談が寄せられた上位の言語は、北京語、日本語、スウェーデン語、ポーランド語、ドイツ語、トルコ語、イタリア語だったと言います。

スリニバサン氏はこのサービスには「大きな需要がある」と確信を語っています。

同団体が実施した多文化メンタルヘルスの調査(2020-21年)では、CALDコミュニティはデジタルチャットを好み、60%が対面カウンセリングではなくオンラインカウンセリングを好むことがわかりました。

「スティグマがあることは明らかです。しかし、これらのコミュニティを支援する鍵は、必ずしも対面を伴わないデジタル手段を使うなど、異なるアプローチをとることかもしれません」

もしあなたやあなたの知り合いが危機的状況にあり、今すぐ助けを必要としているなら、トリプルゼロ(000)に電話してください。

Lifeline 13 11 14
Beyond Blue 1300 22 4636
Mental Health Foundation Australia 1300 643 287

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Published 14 September 2023 9:30am
Updated 14 September 2023 2:41pm
By Yumi Oba
Source: SBS


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